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2023/08/13

「ステイホーム応援第九弾」中河吉由樹さんのMy partnerʼs holiday 相棒たちの休日~表具師の道具~     二十三回目 ドウサ刷毛

まなびおおさか「ステイホーム応援第九弾」

京都府在住 中河吉由樹さんの

「My partnerʼs holiday 相棒たちの休日~表具師の道具~」

第二十三回目はドウサ刷毛の第三回目です。

 

馬毛.jpg

 

 

ドウサ刷毛です。馬毛です。残念ながら三代目を 襲名でき損なった刷毛です。

しかしこの刷毛で新 しい押し方が完成しました。

いろんな子がいて当 然。

なので、どんな子にも活躍できる場を提供す ることも職人のお仕事だな、と思っています。

新 バージョンでは初代に襲名ですね。

 

この2本はいわゆる「地引き」と言われる、支持体にドウサを塗布する時に使用する刷毛です。

鳥 の子紙に塗布する場合などに使用します。

ただし、例えば同じ鳥の子紙でも、二号紙(純三俣で 作られた鳥の子紙)など、

いろんなタイプがありますし、鳥の子紙以外にも間似合紙、唐紙など 様々なものがありますので、

その場合はまた別の刷毛を使用しています。

今回はあくまでも一番スタンダードな鳥の子三号紙の場合で話を進めています。 

 

ムジナの毛.jpg馬毛.jpg

       My partnerʼs holiday 相棒たちの休日~表具師の道具~

              ⑨ドウサ刷毛

                            京都市在住 中河吉由樹

今回は金銀細工、つまり金箔押しや砂子振りなどに使用する刷毛をご紹介したいと思います。

金箔押し、砂子振りともに基本的な使い方は同じです。

工程としては、支持体となる和紙などに膠と明礬を配合した混合液(これをドウサと言います) を

数回に分けて塗布、乾燥を繰り返します。

そして、膠液でドウサを溶かしながら、

箔を押す(貼 り付ける)なり、砂子を蒔くなどします。

そして、乾燥させたら、止め引きといって、膠液または ドウサを塗布し、

乾燥させて完成です。

文章にするとすごく簡潔になってしまいますが、

実際には天候や和紙の漉き具合など様々な要因 により仕上がりが左右されますので、

表具の世界では難易度が高い作業と言えそうです。

それによ り、使用する刷毛には極めて高いクオリティとパフォーマンスを求めてしまい、

一つ一つ要望を お伝えして作っていただいております。

また常に強い酸性に晒されるため、使用した後はしっかりと洗ってあげないと毛がダメになって しまいます。

糊刷毛とは違い、消耗の度合いが 格段に高いです。なので、思い入れも一入で す。