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2023/07/30
「ステイホーム応援第九弾」中河吉由樹さんのMy partnerʼs holiday 相棒たちの休日~表具師の道具~ 二十一回目 ドウサ刷毛
まなびおおさか「ステイホーム応援第九弾」
京都府在住中河吉由樹さんの
「My partnerʼs holiday 相棒たちの休日~表具師の道具~」
第二十一回目はドウサ刷毛の第一回目です。
My partnerʼs holiday
相棒たちの休日~表具師の道具~
⑨ドウサ刷毛
京都市在住 中河吉由樹
今回は金銀細工、つまり金箔押しや砂子振りなどに使用する刷毛をご紹介したいと思います。
金箔押し、砂子振りともに基本的な使い方は同じです。
工程としては、支持体となる和紙などに膠と明礬を配合した混合液(これをドウサと言います) を
数回に分けて塗布、乾燥を繰り返します。
そして、膠液でドウサを溶かしながら、箔を押す(貼 り付ける)なり、
砂子を蒔くなどします。
そして、乾燥させたら、止め引きといって、膠液または ドウサを塗布し、
乾燥させて完成です。
文章にするとすごく簡潔になってしまいますが、
実際には天候や和紙の漉き具合など
様々な要因 により仕上がりが左右されますので、
表具の世界では難易度が高い作業と言えそうです。
それによ り、使用する刷毛には極めて高いクオリティとパフォーマンスを求めてしまい、
一つ一つ要望を お伝えして作っていただいております。
また常に強い酸性に晒されるため、
使用した後はしっかりと洗ってあげないと毛がダメになって しまいます。
糊刷毛とは違い、消耗の度合いが 格段に高いです。
なので、思い入れも一入で す。
いわゆるドウサ刷毛と呼ばれ市販されているもの は、普通は山羊の毛です。
修行を始めた頃は何の 違和感もなく、これらを使用していましたが、
今 は基本的に使用していません。
なぜ山羊の毛がドウサ刷毛として主流なのかはわ かりません。
憶測ですが、消耗の度合いが激しい ので、
使い捨てと割り切った風潮があったからな のかもしれません。
僕の場合は、使用した後に熱湯で繰り返し洗い、 陰干し。
またその次の日も同様にしっかり洗いま す。
このことを僕は「お風呂に入れてあげる」と 名付けております。
ちなみにこの「お風呂」をしないと、
つまり手揉 みとかによる普通の洗い方では、ドウサで毛が固 まってしまい、
ある意味凶器になるくらいの強度 で固まってしまいます。
こうなると数ヶ月で脱毛 現象が始まってしまいます。