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2023/06/11
「ステイホーム応援第九弾」中河吉由樹さんのMy partnerʼs holiday 相棒たちの休日~表具師の道具~ 十九回目 付回し刷毛
まなびおおさか「ステイホーム応援第九弾」
京都府在住中河吉由樹さんの
「My partnerʼs holiday 相棒たちの休日~表具師の道具~」
第十九回目は付回し刷毛の第五回目です。
ムジナの毛の付け回し刷毛です。6寸幅です。
襖や屏風、壁面などの「付け回し」作業で使用す る刷毛です。
また、金箔押しのために使用する鳥 の子紙の裏打ちにも使用します。
鳥の子紙の裏打 ちも、中糊、付け回し、中糊の順番で糊付けしま す。
四方5分ほど残して、楮紙を裏打ち、仮張り に掛ければ、完了です。
My partnerʼs holiday
相棒たちの休日~表具師の道具~
⑧付け回し刷毛
京都市在住 中河吉由樹
今回は付け回し刷毛をご紹介したいと思います。
襖や屏風、壁面に至るまで、和紙を張る作業は、基本的に「浮け掛け」という
下張りをしてから、 上張りをします。
断面を見ると、張り付ける対象物に対して、
袋状に浮いた状態になっています。
言葉にすると難しいですが、壁面に貼られるクロスのように、
全面濃い糊で貼り付けているのではないのです。
ですので、「張り」と「貼り」というように
言葉を使い分けています。
なぜそのような施工方法になるのかというと、
袋状になっていることによって、
剥がして、修復 し、再度張り付けることが可能になることから、
修復作業ができるのですね。
クロスのような施 工方法だと修復作業はできません。
(ちなみにこのような施工方法を「ベタ貼り」と言います)
この上張りですが、基本的には、まず四方を残して、
中の方を少し薄い糊を塗布します。
このとき に使用するのが、以前ご紹介した「糊刷毛」です。
そして、四方周りに濃い糊をつけていきます。
そして再度、中糊を施し、上張る作業になります。
この四方周りを「付け回す」のに使用するのが、「付け回し刷毛」となります。
また、「切継刷毛」とも言いますが、この言い方をされる方は、
主に掛け軸をメインにされてい る表具師になると思います。
掛け軸の作業は、襖や屏風、壁面とは全く工程が異なります。
掛け軸作業の場合では、裏打ちを 終えた本紙や裂地を設計した寸法に裁断し、
多くの場合は重ね代1分(場合によっては若干前後 しますが。。)
で継いでいきます。
この作業を「切継(きりつぎ)」と言います。
人によっては、 「切継」のことを「付け回し」と呼ばれることもあるので、
あんまり厳密な使い分けはないよう です。
今回は、全て「付け回し刷毛」と呼ぶことにします。